平成28年度 第5回 外国籍県民相談等に関する研修会 実施報告

■ 日 時:平成29年1月27日(金) 18:00~20:30

■ 場 所:かながわ県民センター 305会議室

■ 対 象:神奈川県内 外国人相談窓口関係者ならびに外国人支援活動団体等

■ 参加者:42名

■ 講 師:

◆特定非営利活動法人かながわ女のスペースみずら  理事 小山内 園子 氏

◆特定非営利活動法人 女性の家サーラー 事務局長 湯山 佳代 氏

■ テーマ:「外国籍女性をとりまく問題と支援」~2つの団体の活動を通して~

■ 内 容:

(1) 両団体からの発表(活動紹介、事例、課題等)

(2)「事例を通して支援を考える」 湯山 佳代氏

(3)「女性に対する暴力被害」~燃え尽きずに対応するために~ 小山内 園子氏

 

 

■ 当日の様子:

第1部では両団体が暴力被害女性や管・人身取引被害者の救援と保護に始まり、法の成立や行政との関係、被害者の状況等の変化と共に支援を行ってきた活動内容を伺いました。なお、相談内容の傾向では、単純に情報提供が多かった時代から、何を相談したいか整理できずにいる相談者や暴力によって貧困・障害・精神疾患等の複合的な状況が明るみになった相談、そして日本人女性と同じ相談内容も多く外国籍の為の窓口である必要はありませんが、根底に外国籍特有の悩みを抱えているといったケース等、何度も面接をしながら信頼関係を構築し主訴を見極めることが必要となっているとのことでした。

また外国籍に特化して支援を強化してきたサーラーの湯山氏からは、暴力の種類別、国や在留資格別のデーターを基に相談傾向や特徴や、外国籍母子支援における課題についてお話しいただきました。在留資格における制限や国家間の取り決め、離婚に対する抵抗感等、加害者側ではなく制度や本人の価値観により支援が困難になる状況もあることを知りました。

続いて第2部では、サーラー湯山氏から5つの事例を紹介いただきグループで話し合いました。参加者からは「何を確認をするか、つなぎ先やするべきこと等、どういう手順を踏めば良いか、支援の道筋が見えた」「問題が生じた時の対処法がわかった」等の感想が多く寄せられました。

そして第3部の、みずら小山内氏からは暴力被害を受ける女性を支援者側の姿勢をお話しいただきました。大切なのは「できること」と「できないこと」の見極めであり、組織や一般的な人ができるか・できないかではなく、相談者ができるか・できないか、個人の能力に合わせた支援が提案できるかが大切であることであり、支援者側が強い立場になりがちな中、いかに相談者に寄り添うか、常に意識することの大切さを学びました。そして支援者のメンタルヘルスとして「辛くなったら、距離を置く。自分の人生と相手の人生をかぶせない」という言葉をいただきました。熱意をもって接するからこそ燃え尽きる危険性のある支援者にとって大切な言葉になったのではないでしょうか。

今回の研修では実態の把握が難しい暴力被害を受ける女性の支援について学びましたが「女性の暴力被害問題の実態がよくわかった」「経験に基づいた話で非常にわかりやすく、今後の業務の参考になった」「具体的な支援の内容・多くの支援方法を学べる機会だった」「行政の世界からは見えない支援の実際や考え方について学ぶことができた」という感想をいただくことができました。