今年度第4回目の外国籍県民相談等に関する研修会は、「日本での難民申請者の支援について~外国人ホームレスを生まないために~」と題し、日本在住難民申請者の状況を鑑み、難民支援協会の支援事業部の生活支援担当、社会福祉士の西岡千恵子 氏を講師に迎え、オンライン形式で実施しました。日本での難民申請者の現状、申請者及び認定者数の推移、公的支援と申請手続き、生活状況、労働制限と振り分け分類などについて講義いただきました。当日は多くの相談スタッフ、NPO団体、教育や医療機関の関係者、一般県民の方にご参加いただきました。本講義の特徴として、外国籍県民相談窓口相談員と外部の申込者への聞き取り調査を行い、講師が基本知識に関する情報を事前に提供し、質問に回答をしたため、講義中にそれらの解説をしつつ現場での経験を踏まえ紹介をされました。結果、事後アンケートの中にも「事前質問に答えていただき、疑問が解消できた」との声があり、非常に効率よく内容が豊かで参加者の理解を深めることができました。
講義では、難民として逃れてきた直後には、最低限の衣(医)・食・住もままならず、時にはホームレス状態になってしまうケースも紹介されました。難民申請中は、政府からの支援金を受けられる人もいる一方、支援金を得る審査に数ヶ月かかるうえ、受給額も生活保護と比較し、3分の2程度と限られています。要件を満たす人には、難民申請から一定の期間が経つと就労が認められるため、働きながら、平均4年かかる審査の結果を待つことになるという情報が印象に残りました。日本の社会の中で、就労資格のある人は働き、食事をしたり、眠ったりする日々の生活には、多くの人々と変わらない部分もあるが、言葉や文化の違いがある生活になじみ、先行きの見えない難民申請の結果を待つのは厳しいことが分かりました。また、不認定となれば就労や健康保険加入も認められず、必要最低限の生活が保障されない状態で暮らすことになり、親しい家族や友人と離れていることから、孤独を感じることも多い現状が伝わりました。
講義の構成については、当日直前講義が始まる1時間前に講師と職員によるリハーサルを実施したことで、操作や進行などの確認ができた結果、非常にスムーズに配信ができました。一方で今後は、講師を依頼する段階で事前打ち合わせとリハーサルの必要性についてもっと強く伝える必要があると感じました。
この度も参加者が講師の話に集中してもらえるように、講師の資料の配布を当日のチャットと実施後にメールで送信することにし、当日は資料以外の難民支援協会や法務省のホームページを活用しました。また、質疑応答の時間は参加者より講師に直接質問をする形式に致しました。質問者の中で「なぜ難民認定率がこんなに低いのに、日本へやってくるのか?という思いがあったのですが、ビザが出やすいからという理由に納得しました。一日でも早く国を出たいという立場の人にとっては当然かもしれませんね」とのご感想がありました。講師と質問者の間のコミュニケーションの場ができてとても良かったです。一方、1名の質問者の中には、マイクの不具合があったため、質問を終えるまでに他の質問者より時間がかかりました。また、進行役より指名されずにいきなり発言してしまった参加者もいたので、今後は質疑応答の形式を検討すべきです。
実施後の対応について、当日の資料、事後のアンケートと講師による参考情報を後日にメールで送付致しました。12日22日の時点では、10名が回答した中で、「非常に満足した」「満足した」が60%を占めました。「これまで難民に接したことがなく、難民のことに関する研修会は初めてで、大変勉強になりました」や「普段は聞けない難民申請者の支援について、聞くことができました。」などの高評価のコメントをたくさんいただきました。
1. 目 的:相談対応の向上等を含めた相談業務に必要なスキルの習得のため
2. 日 時:2023年 12月19日(火)18:00~19:30
3. 会 場:あーすぷらざ(オンラインZoom開催/中継会場:応接室)
4. 対 象:外国籍県民相談窓口相談員、神奈川県及び近隣県内の市町村の外国人相談窓口相談員、NPO 団体・市民団体及び窓口担当者、自治体職員など
5. 参加者:32名(講師1名、あーすぷらざ多文化共生チーム職員4名を含む)
6. 講 師: 認定 NPO 法人 難民支援協会 支援事業部 西岡千恵子 氏
7. テーマ:「日本での難民申請者の支援について~外国人ホームレスを生まないために~」
8.内 容:
①講義:60分
②質疑応答:30分(途中休憩10分含む)
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