【実施報告】第3回外国籍県民相談等に関する研修会

1. 目 的:相談対応の向上等を含めた相談業務に必要なスキルの習得のため

2. 日 時:2020年 11月 25日(水)18:00~20:00

3. 場 所:かながわ県民センター304号室

4. 対 象: 神奈川県内各市区町村の外国人相談窓口担当、国際交流協会、国際交流ラウンジ、NPO、市民団体、支援団体等

5.参加者:24名(あーすぷらざ多文化共生・情報課 職員4名含む)

6.講 師: 神奈川労働局 労働基準部監督課 哘崎 雅夫 氏

7.テーマ:「コロナ禍の労働相談から学ぶ ~みんなが働きやすい地域を目指して~」

8.内 容:
(1.) 講義 
  神奈川労働局概要、相談内容に応じた問い合わせ先について、
  外国人対応窓口の紹介、労基法の説明
~休憩~
 (2.) ワーク  事例検討(6つ)、解説
 (3.) 質疑応答 

9.成 果:
第3回研修会は神奈川労働局から労働基準監督課哘崎氏をお招きし、「労働」をテーマに労働局、労基署の役割や労基法の説明など基礎知識を基本とした講義と、事例を基にしたワークを実施しました。特に今年度は新型コロナウイルスの影響により、各相談窓口において仕事に関する相談が増加しているとの声が多かったため、今回の研修会開催に至りました。当日は、外国籍相談窓口の担当者、行政窓口担当者、NPO団体支援者の方々などにご参加いただきました。

第一部の講義では、労働局、相談の内容による相談先、労基署やハローワークの管轄場所についてなど一般的な説明と、外国人労働者向け相談ダイアルなど外国人の方が利用できる相談先などの紹介がありました。また、労働条件ハンドブックを基に、労基法についても確認し、解雇予告手当などについて説明いただきました。コロナウイルスの影響で突然の解雇や事前の解雇通知が30日を切っているケースも起きているため、雇用主側へ労働者が要求できることなどを確認しつつ、支援者としても基本を確認しつつ相談が来た際の案内先を理解いただく機会となりました。

第二部では、事例検討として6つのケースを取り上げました。本来であれば周辺の参加者とも相談・共有しながら取り組むことを促したかったが、コロナウイルス感染防止のため、個人ごとに考える時間を設けました。「これってあり?~まんが知って役立つ労働法Q&A~(厚生労働省)」のパンフレットを用いながら解説いただきました。日本語で書いてありますがイラストもついており、相談対応で知識を得る際には役立つと思います(HPからもダウンロードは可能)。また、新型コロナウイルスの相談対応に特化した内容としては、労働者を休ませる場合の措置や、感染した方を休業させる場合の雇用主の責任なども説明いただきました。特に契約内容から不景気を理由に給与が減額された際や、退職を促された場合、そのまま受け取ったりうやむやにしていたりすると、合意したとみなされる可能性があるため、雇用側の要求をそのまま受け取らず、相談窓口に繋げることを支援者側も認識できました。

事前の質問に加え、当日も質問票に多くの質問が寄せられ、「休業支援金の申請について会社側が協力してくれない、労基上問題ないのか」、「未払い給与について退職後に代理で手続きできるのか」と言った質問や、当日も「外国人労働者相談コーナー」と「外国人労働者向け相談ダイアル」の違いや、「ユニオンとは何なのか」など、ハローワーク(職業安定部)やコールセンターで相談可能な部分と、労基ではなかなか対応が難しい部分についてなど紹介されました。

終了後のアンケートでは、「資料が適切で、説明がわかりやすかった」「新型コロナによる労働者の休業に対する休業手当と雇用調整助成金についてよくわかった」との感想がありました。また、もっと知りたかったこととして、「雇用者に問題がある事例をもっと聞きたかった」「外国人の雇用に特化した問題点、相談事項」との回答もあり、やはり労働問題に関して、外国籍の方々の支援者はより多くの実態(実例)、情報を求めていることがわかります。
 受講者間のディスタンスを保ち、換気のために窓を開放していたこともあり、音声が聞き取りづらいとの意見がありました。一方で、日々向き合っている現場の方々の状況を講師の方にも知っていただくという双方向のやり取りを重視しており、質問票を用いて質疑応答が出来たことも貴重な機会となりました。

今年度は労働者も大きな影響を受け、仕事を失い生活困窮に陥っている方も少なくないはずですが、仕事をテーマとしてこのようなセミナーを開催していることは少なく、医療や教育などに関しての講座がよく見られます。労働局だけでなく外国人労働者に関わる行政と、ほかの専門家や労働関係の組織などと連携し、さらに労働に関しての研修会の実施を考えたいと思います。