1. 目 的:相談対応の向上等を含めた相談業務に必要なスキルの習得のため
2. 日 時:2020年 9月 18日(金)19:00~20:30
3. 場 所:かながわ県民センター304号室(オンライン会議システムZOOMも併用)
4. 対 象: 神奈川県内各市区町村の外国人相談窓口担当、国際交流協会、
国際交流ラウンジ、NPO、市民団体、支援団体、医療従事者等
5.参加者: 72名(相談員6名、あーすぷらざ職員7名含む)
6.講 師: 港町診療所 所長 沢田貴志 氏
7.テーマ:「感染症流行の中で在住外国人を支える医療現場のいま」
8.内 容:
① 講義(45分)
② ワーク(30分)
③ まとめ、質疑応答(15分)
9.成 果:
2020年度第2回目となる研修会は、猛威を奮っている新型コロナウイルスの最新状況や外国籍住民が抱えている不安や心配、相談窓口での対応の際に気をつけるべき事などにスポットを当て、港町診療所所長の沢田貴志氏を講師としてお招きしました。
第1部・講義:港町診療所の紹介に始まり、新型コロナウイルスの現在の状況や外国人からの相談状況など資料を基にご説明いただきました。前半は、国内の国籍別在留外国人人口や在留資格についてなど基礎的なことから、新型コロナウイルスの患者数やPCR検査数の推移を説明いただき、コロナウイルスの感染症流行の世界の動向、検査・医療体制の拡大状況等のお話がありました。後半では、世界のコロナウイルス感染者数の状況や、各相談窓口や支援機関でコロナウイルス感染が疑われる相談があった場合は、基準や制度が頻繁に変わるので、専門機関につないでほしいとの相談対応のアドバイスや、講師のところに来る相談内容の紹介がありました。相談例としては、「コロナウイルスで帰国できなくなった」「日本で薬を探せない」「妊娠中に帰れなくなり臨月になった」「飛行機に搭乗するのにPCR検査が必要」など紹介され、注意点を含めて実際に相談を受けた際にどのようなことが考えられるのかを共有いただきました。
第2部・ワーク:コロナに関する相談として、ある相談者が国民健康保険に加入しておらず、どうしたらよいか分からず不安だという相談があった場合のケースを扱いました。会場参加者は、ソーシャルディスタンスを取りつつワークを行い、オンライン参加者は、ブレイクアウトルーム機能を使いペアワークを行いました。発表は会場参加者からのみでしたが、「まず健康保険に加入する必要がある」「外国人対応に慣れている医療機関を事前に知っておく必要がある」など活発な意見が出されていました。講師からは、在留資格によっては短期間で健康保険に加入できない場合もあるので、健康保険に加入していない人にも医療を確保する体制が必要である点、感染を防ぐためにも公的な制度が広がり、医療が受けられるよう検討していかなければならない点など話がありました。
外国籍住民に対する医療を軽視すると日本社会に影響があること、また外国人もケアされるというモデルを作ることができるのは神奈川県であり、外国人でも医療が受けられる地域を作り、発信していくことが重要であるという講師からのメッセージで締めくくられました。
終了後のアンケートより:
「コロナウイルスの日本での流行の経緯や状況がよく分かりました」「新型コロナの影響で私が参加しているボランティアの医療通訳の形が大きく変わり戸惑っていたのですが、タイムリーなご助言を頂きありがとうございました」「外国籍の方のサポート体制が乏しく、知らないことが多くありました」「国の政策が遅れていると感じます。また、元々の外国人労働者のバックグランド(国の政策)が影響していることが分かりました。コロナで病院経営も困難な中、今後もより厳しくなっていくと感じました」「最後の外国籍の方を置き去りにしてしまうとどうなるかの話が印象に残りました。多文化共生をさまざまな場面で推進し、医療現場もその先駆けになってほしいと思います」
新型コロナウイルスの基本的な知識、関係機関との連携の大切さなど、講師の講義やワークショップは高い満足度を得られました。
今回はハイブリッド型と呼ばれる集客・オンライン同時並行での開催を行いましたが、日オンライン上での不具合があり、オンライン参加者には音声が聞き取れない旨のコメントも散見されました。どちらかに集中して講師が話をして音を拾う形のほうが、参加者も聞き取りやすく、また集中できると感じました。さらに、オンライン参加者の質問や反応がチャットのみの共有となり、直接音声を会場に届けることが出来なかったことが残念でした。うまく聞き取れなかったという声から、インターネット上の接続不具合、また音声を拾うマイクの不具合やそれぞれ参加者の接続環境、意図しないミュート解除も参加者側で発生していた様子のため、今後はやはり慣れていない人の為に練習の時間を実施前に設け、主催側としても様々なパターンを想定してリハーサルを実施し、参加者にもイヤホンを推奨したり、ブレイクアウトルームについて周知したり事前にしておきたいと考えています。今回の経験と参加者からのアドバイスも活かして、今後の研修の形態も考えていきます。